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猫の暑さ対策

猛暑日や熱帯夜が続く夏は、猫ちゃんも体調を崩しやすい季節。
夏になると気温の上昇はもちろん、湿度も高くなるので熱中症や脱水、夏バテなどにも注意が必要です。
猫ちゃんが快適に過ごせるように夏の暑さ対策をしておきましょう。

監修の先生内田 恵子 獣医師
(元ACプラザ苅谷動物病院統括院長)

小動物臨床に35年間従事した後、現在は動物病院運営のためのアドバイスを開始している。JAHA内科認定医、JAHA認定パピーケアスタッフであり、動物病院で動物の入院中ストレスや診察中ストレスを軽減し、病院で問題行動を作らないような技量を広めるため活動中。

ライター:山ノ上ゆき子

INDEX

猫ちゃんは、暑さに強く寒さに弱い?

家庭でペットとして飼われている猫ちゃんは、もともと砂漠地帯や熱帯のジャングルなどの暑い場所で生息していたリビアヤマネコがルーツです。そのため暑さに強く、寒さに弱いとされています。確かに猫ちゃんは、人間が少し暑いかなぁと思うぐらいの気温が快適なようで、家の中でも少し暖かいところを好む傾向があります。しかし、そんな暑さに強いと思われている猫ちゃんも、高温多湿の環境にずっといると熱中症になりますし、夏バテを起こしたり、逆にクーラーの冷え過ぎによって体調を崩したりすることもあります。さらにこの季節は置き餌によって食中毒などを発症することも多いのです。そうならないためにも、猫ちゃんの生活環境をチェックして、快適に過ごせる工夫をしておきましょう。

実は、屋内にいる猫ちゃんも
熱中症になる可能性があります

屋外のイメージが強い熱中症ですが、室内でも高温多湿の環境下では猫ちゃんも熱中症になる危険があります。閉め切った部屋やケージ内など猫ちゃんが涼しい場所へ自ら移動できない環境下で発症するケースが多いようです。猫は、人間のように汗腺が発達していないため、身体から汗を出して体温調節することができません。グルーミングという体を舐める行為をしながら、その唾液の気化熱で体温を下げるのですが、水分をとっていないとそれも充分にできず、さらに脱水を引き起こすこともあるので注意が必要です。水分不足でも、水飲み場まで遠いとつい我慢してしまう猫ちゃんもいるので、水飲み場を増やし、さまざまな水飲み器を用意するなど、お水を飲みやすくする工夫をするとよいでしょう。さらに、水分が含まれているウエットフードを食べさせるのも水分補給につながります。

[猫における熱中症の月別請求件数]※2011年4月1日~2012年3月31日までの間に、アニコム損保に契約した猫38,638頭(0~12歳齢)を対象に調査 POINT 5~9月頃に発生件数が増加し、ピークをむかえる7月には250件近くに達する。 出典:アニコム損保調べ

特に通気の悪いお部屋や、直射日光が当たる空間は温度や湿度が上昇しやすくなります。猫ちゃんにとっては冷え過ぎるのもよくありませんが、真夏日はエアコンで室内の温度調整をするのが安心です。お部屋の中では、冷気は低いところにたまり、暖気は上昇するので、キャットタワーなどを設置して、猫ちゃん自身が快適な温度のところに移動できるようにしておきましょう。

猫ちゃんは、
エアコンや扇風機の風が苦手

お部屋は風通しをよくするのが理想。窓を開けられない状態なら、エアコンやサーキュレーターの利用で空気の循環をよくしておくことが大切です。しかし、熱中症対策のためにエアコンをつけたいけれど「うちの子は、エアコンの風を嫌がる」という話を聞くことがあります。猫ちゃんは、ヒゲや鼻などの感覚器官が発達していて、風が当たるとそれが刺激されて気になる子が多いようです。そのため、エアコンは微風や弱風にして冷気が直接当たらないように猫ちゃんの居場所の位置を工夫してあげましょう。多少風を感じても、お部屋で自由行動ができる環境であれば、猫ちゃんは自分で快適な場所を選んで移動します。エアコンをしばらくつけていたら高い所から降りてこなくなったという時は、冷気が下に溜まって寒く感じているサインかも…。猫ちゃんの過ごす場所には理由があるはずなので、お部屋の空気の流れや温度をチェックして調節しましょう。
また、特に気をつけてほしいのは、太り気味や加齢などで動きが鈍くなっている猫ちゃんです。「暑い」もしくは、「寒い」と思っていても、動くのが面倒でその場所で我慢することがあるからです。口を開けての呼吸やヨダレを見かけたら、熱中症の可能性もあるのですぐに獣医師に相談しましょう。

暑い日の猫ちゃんのお留守番で
気をつけること

家族と一緒に過ごしている時と違い、夏の暑い日に猫ちゃんだけで長時間お留守番させる時は、注意が必要です。真夏日は、窓からの通気があっても熱中症になる危険がありますので、基本的にはエアコンで温度や湿度の調整をしておくことをオススメします。ただし、人感センサー搭載のエアコンの場合は、猫ちゃんを感知しない恐れもあるので作動するか確認をしておきましょう。お留守番中の猫ちゃんにエアコンを使う場合、窓の半分は日光が入る生地のカーテンなどにして、冷え過ぎ防止を兼ねて日向ぼっこができる環境にしておくことも大切です。また、ケージでお留守番をしている猫ちゃんの場合は、冷気が溜まり寒くなったら潜り込めるブランケット等を用意してあげましょう。

高窓など通気できるお部屋の場合は、ひんやりマットや冷却タイルなどのクールグッズなどを用意し、窓からの日差しには、遮光カーテンやよしずなどで日陰をつくる工夫をしておきましょう。また、この時期は食べ物が腐敗しやすく、食中毒の原因にもなりかねません。お留守番させる時も置き餌は控えましょう。そして、お水は直射日光を避けた場所に置くのが良いでしょう。

ポイントを押さえて
猫ちゃんが選べる環境づくりを

猫ちゃんの熱中症や夏バテ防止には、猫ちゃんが快適な場所を自ら選べるように選択肢を増やしてあげることを心がけましょう。エアコンで冷え過ぎた場合は、日向で身体を温められたり、ブランケットに潜り込めたりでき、暑くなったら涼しい場所へ移動できるように選択可能な環境にしておくのが良いでしょう。

【環境づくり5つのポイント】

  1. 高温多湿にならないように風通しをよくする
  2. 温度調整にはエアコンやサーキュレーターを利用する
  3. キャットタワーなどの上下移動できる場所を作る
  4. 水飲み場を複数設置する
  5. 日向ぼっこができるスペースも作る

この他、日頃からブラッシングで冬毛をしっかりと取り除くことも暑さ対策になります。また、留守中停電などでエアコンが停止しないとも限りません。もしもの時を考えて猫ちゃんの移動の妨げになるような物が落ちないかチェックし、ひんやりグッズのコーナーなども用意しておくとさらに安心です。猫ちゃんによっては、流水やファウンテン型の給水にすると、興味を持って飲む場合があるので、利用するのも良いでしょう。
猫ちゃんと快適に夏を乗り越えましょう。