気になるあのニオイの原因は!?
愛猫と快適に暮らすための消臭対策
もしかして、うちって臭い? 匂ってる!?
いつも一緒に暮らしている飼い主さんにとっては、「なんとなく“におう”かな?」くらいでも、
お客様を迎える時などは、「部屋が“臭い”」と思われないかと心配になるものです。
猫トイレなど、猫ちゃんとの暮らしで気になるニオイの原因と、
消臭対策についてご紹介します。
監修高木 智世(ユニ・チャーム株式会社)
ペットケア開発本部トイレタリー開発部
猫排泄商品担当
監修山本 泰生(ユニ・チャーム株式会社)
ペットケア開発本部トイレタリー開発部
犬排泄商品(ペット用おむつ、介護ケア商品)担当
猫のオシッコのニオイのメカニズム
猫と暮らしていて悩みの種になるニオイのトップは、なんと言っても猫トイレです。肉食性の強い猫のウンチは、ツンとした強いニオイがしますし、オシッコのニオイもけっこうにおいます。特に去勢していないオスのオシッコは、メスや去勢済みのオスに比べるとさらにきついニオイがします。
猫のオシッコ臭の元となっているのは、アミノ酸の一種の「フェリニン」という物質で、空気に触れると「チオール」という物質に変化して、あの独特なニオイを発します。フェリニンの生成には腎臓の尿細管の細胞の中で作られる「コーキシン」というタンパク質が関わっています。フェリニンとコーキシンは猫のオシッコの中だけに存在するもので、去勢していないオス猫のオシッコの中により多く含まれるという研究結果も報告されており、猫のオシッコのニオイのメカニズムは科学的にも解明されているのです(※)。
また、細菌性の膀胱炎にかかるとアンモニア臭が強くなりますし、腎臓病など、病気によってはオシッコの量が増えてうすくなるため、ニオイが感じにくくなることもあります。ウンチのニオイの変化も要注意。つまり、排泄物のニオイは臭いだけでなく、健康のバロメーターでもあるのです。いつもと違うニオイがする時には、動物病院に相談してみましょう。
- ※独立行政法人理化学研究所と岩手大学の共同研究(2006年)
これで解決!
猫トイレのニオイ対策
猫トイレのニオイを軽減させるためには、言うまでもなく、トイレを清潔にすることが基本です。ウンチやオシッコは長時間放置しないで取り除き、トイレ周りも抗菌タイプのウェットティッシュなどで拭いて、ニオイの元を取り除きましょう。オシッコのニオイは壁や床などにしみ込みやすいので、スプレー行動やトイレ以外でしてしまった場合には、水拭きした後に消臭スプレーをかけます。猫ちゃんがトイレからはみ出てしてしまう場合には、トイレ周りに消臭シートやペットシーツなどを敷き、こまめに取り替えるようにすれば、ニオイ対策にもなりますし掃除も楽です。
また、猫砂にはいろいろな種類があり、消臭力もさまざまです。毎日のお手入れが簡単で、閉めきった部屋でも1週間におわない猫用のシステムトイレもあります。猫砂は、月に1回は全部取り替えて、トイレを洗いましょう。猫トイレの多くはプラスチック製ですが、長期間使い続けていると、猫ちゃんの爪で引っかかれたり、猫砂でこすられたりして表面に傷ができ、そこにニオイがつきやすくなりますので、やわらかいスポンジを使って中性洗剤で洗います。また、プラスチックはニオイを吸着しやすい性質があるため、同じものをずっと使い続けているとトイレ自体にニオイが染み込んでいることも! きれいに掃除していてもニオイが気になるときはトイレの買い換えを検討しましょう。
屋根付きのトイレはニオイが拡散しないという点では、お部屋の消臭対策にはなりますが、裏を返せばトイレの中にニオイがこもりやすくなるので、猫ちゃんによっては嫌がることもあります。
排泄後の猫砂の固まりやウンチなどをゴミ収集日まで保管する場合は、ふた付きのゴミ箱の中に、1回ずつ小袋に入れて密封すればニオイが押さえられます。最近では、防臭効果のある袋も市販されています。排泄物との相性がいい香りがする芳香消臭剤もありますので、猫砂やゴミ箱の中などに入れてみるのもよいでしょう。
フードの食べ残しにも注意。
ブラッシングで体も清潔に
その他、フードの食べ残しも、出しっ放しにしておくとニオイが部屋中に拡散します。特にウェットフードは傷みやすさの点からも放置は禁物です。食べ残しは速やかに片付け、食べ終わった後の食器もその都度洗ってきれいにしましょう。
また、毎日自分で念入りに毛づくろいをしている猫は体臭が少ない動物ですが、定期的にブラッシングをすることで抜け毛や汚れが落ちて清潔に保つことができます。さらに、時々シャンプーができれば理想的ですが嫌がる猫ちゃんも多いので、ウェットタオルなどで体を拭くのも良いでしょう。体の特にお尻周りの汚れはこまめに拭き取ります。
また、ニオイ対策には掃除も欠かせません。トイレからはみ出した猫砂が部屋のあちらこちらに飛んでたり、抜け毛がたまっているとニオイの原因になりますので、掃除もしっかり行いましょう。
部屋を漂うニオイが気になるときには消臭スプレーも効果的ですが、使用する場合には、猫ちゃんが舐めても安心なものなど、ペットに配慮したものを選んでください。
夏に特にニオイを強く感じる理由
ところで、どうして夏になるとニオイが強く感じられるのでしょうか?
それは、高温多湿になると、空気中にニオイの分子が増えるためにニオイを感じやすくなり、さらに雑菌が増殖しやすく不快なニオイの発生自体も増えるからです。猫トイレや食べ残しからも雑菌が発生しやすくなり、ニオイの分子も空気中に拡散されて、他の季節以上にニオイが強くなるというわけです。
さらに、いつも鼻先が湿っている犬の嗅覚が敏感なように、鼻の粘膜が適度に湿っているとニオイを感じやすくなります。
部屋にニオイをこもらせないためには、換気と通風が重要です。夏だけでなく、部屋をしめきりがちになる冬も換気しましょう。トイレも風通しがよくて換気しやすく、猫ちゃんが落ち着いて利用できる場所に置くのが理想的。空気清浄機などを活用するのもよいでしょう。
消臭対策をしっかり行って、猫ちゃんと飼い主さん、双方にとっての快適空間を整えましょう!