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猫をしつけるためのポイント!
爪とぎ、トイレ、咬み癖など
基本的なしつけについて解説

猫のしつけで「ダメ!」と叱る方法は逆効果で、ストレスの原因になります。
咬み癖・爪とぎなどの行動は、習性やニーズが満たされていない、
あるいはストレスを感じていて何らかの理由を示しているサインです。
この記事では、環境を整えてトイレや爪とぎの悩みを改善する方法を解説します。

監修の先生 内田 恵子 獣医師 (元苅谷動物病院グループ統括院長)

小動物臨床に35年間従事した後、現在は動物病院運営のためのアドバイスを開始している。JAHA内科認定医、JAHAこいぬこねこの教育アドバイザーであり、動物病院で動物の入院中ストレスや診察中ストレスを軽減し、病院で問題行動を作らないような技量を広めるため活動中。

INDEX

猫にしつけはできる?
いつから始める?

「猫にしつけはできる?」という疑問に対し、答えは「可能」です。ただし、その「しつけ」の定義を正しく理解することが重要です。
多くの人が想像する「しつけ」のイメージは、望まない行動をしたときは叱り、望まれる行動をしたときにほめるという、かつて犬に行われていた「しつけ」に近いものではないでしょうか。

猫にしつけはできる?いつから始める?

猫の「しつけ」は根本的に異なります。猫のしつけとは、猫の習性を理解し、そのニーズを満たす環境を整えること、原因となる脅威に気づいてあげること、そのストレスの原因を取り除いてあげる「環境マネジメント」が基本です。
猫は本能的な行動(爪とぎ、高い場所への移動など)が強く、それを罰でやめさせることは、猫にはできないのです。
しつけを始める時期は、様々なことを受け入れやすい「社会化期(生後2〜7週齢頃)」が最適ですが、成猫からでも遅くありません。猫の習性に合った快適な環境を整え、望ましい行動へ誘導することで、時間はかかりますが猫は自然とルールを学んでいきます。

猫のしつけのポイント

猫のしつけを成功させる最大のポイントは、「猫の習性を深く理解すること」です。
猫が問題行動(と人間が感じる行動)を起こす時、そこには必ず猫なりの理由があります。例えば、爪とぎはマーキングや爪のケアという本能的な行動であり、トイレの失敗は、場所が気に入らない、そのトイレ自体が気に入らないというサインかもしれません。
力で押さえつけたり、大声で叱ったりするのではなく、「なぜその行動をするのか?」を考え、猫のニーズを満たす環境を先回りして用意してあげること。これが、猫のしつけにおける最も重要な心構えです。

猫のしつけのポイント

「叱る」しつけが逆効果になる理由

猫のしつけにおいて、大声で叱ったり、叩いたりすることは絶対に避けるべきです。猫は「なぜ叱られているのか」を理解できず、単に「飼い主が怖い」としか学習しません。これにより、飼い主との信頼関係が根本から崩れてしまいます。
特に、トイレの失敗などを後から見つけて叱っても、猫は何のことか分からず混乱するだけです。恐怖やストレスを感じた猫は、飼い主を避けるようになったり、不安からさらに問題行動(隠れて粗相をする、攻撃性が増すなど)を悪化させたりするケースも少なくありません。叱ることは、しつけにおいて逆効果にしかならないのです。

成功の鍵は「環境づくり」

猫のしつけを成功させる鍵は、「快適な環境づくり」と「一貫したルール」です。
大前提として、猫が本能的に望む環境(例:好みの素材の爪とぎ、静かなトイレ)を整えることが重要です。猫が「ここで〇〇すると快適だ」と学習すれば、その行動が定着しやすくなります。

猫を迎えた当日に大切なこと

猫にとって、新しい環境への「引っ越し」は非常に大きなストレスがかかる出来事です。万が一の体調不良に備え、お迎えは動物病院が開いている午前中が安心です。
迎えた当日に最も大切なことは、「構いすぎず、静かに見守る」こと。
まずはトイレやベッド、食事、水を入れたケージ(セーフティゾーン)を用意します。家に到着したら、キャリーケースごとケージの中に入れ、扉を開けて猫が自分から出てくるのを待ちましょう。
初日は不安と緊張でいっぱいのため、話しかけたり、ジロジロ見つめたりするのはNGです。落ち着いてくると、猫は家中を歩きながら匂いを嗅いで確認する“パトロール”を行います。はじめはケージの中で安心できる場所を確保し、その後は猫のペースで家の中を確認する時間を作ることが大切です。猫が「ここは安全だ」と認識し、自分から行動できるようになるまで、静かな環境でそっと見守ることが、信頼関係の第一歩となります。

猫のしつけのポイント

猫に適した環境作り

猫に適した環境作り

猫の問題行動(と人間が感じる行動)の多くは、猫の習性や本能が満たされていないことが原因です。叱るのではなく、猫が本能的に求める「快適な環境」を整えることが、しつけの基本となります。

安心できる隠れ場所
猫は狭く暗い場所を好みます。キャリーケースやベッド、猫が安心して休める「パーソナルスペース」を家の各所に用意しましょう。
上下行動ができる場所
猫は高い場所から見渡すことで安心します。キャットタワーの設置や、家具の配置を工夫して、猫が安全に上り下りできる動線を確保してください。
食事と水の場所
食事と水飲み場は、トイレから離れた、静かで落ち着ける場所に設置します。特に水飲み場は家の複数箇所に置くと、飲水量を促すのに効果的です。
事故・脱走の防止
窓や網戸のロックを徹底し、玄関には飛び出し防止柵を設置するなどの脱走対策は必須です。また、電気コードや観葉植物など、猫にとって危険なものは片付け、誤飲事故を防ぎましょう。

猫のトイレのしつけ

猫のしつけの中で、最もスムーズに進みやすいのが「トイレ」です。猫はもともと砂漠で外敵から身を守るために排泄物を砂で隠す習性があり、非常にキレイ好きです。そのため、母猫や兄弟猫の真似をして、幼い頃から自然とトイレを覚えているケースがほとんどです。
つまり、猫のトイレのしつけとは、「猫が本能的に“ここがトイレだ”と認める快適な環境を用意すること」に尽きます。

猫のトイレのしつけ

もし猫がトイレ以外で粗相(そそう)をしてしまう場合、それは飼い主への抗議や嫌がらせではなく、「今のトイレ環境に不満がある」というサインです。場所が気に入らない、汚れている、大きさが合わない、または脅威や不安によるテリトリーの主張や病気の可能性も考えられます。
粗相を見つけたら、決して大声で叱らず、黙って速やかに片付け、ペット用の消臭剤でニオイを徹底的に消すことが鉄則です。その上で、なぜ失敗したのか原因を突き止め、環境を見直すことが解決への近道です。もし、それでも改善が見られない場合は、行動治療の専門医へ相談しましょう。

静かでゆったりしたトイレを作る

猫が安心して排泄できるトイレ環境の条件は、「静かで、ゆったりできること」です。
まず設置場所は、食事や水飲み場から離し、人の出入りが激しい場所や、洗濯機などの大きな音がする場所は避けます。家の中でも落ち着ける隅などが理想です。
トイレ本体の大きさは、猫が中で方向転換できる「体長の1.5倍以上」のサイズが推奨されます。
また、トイレの「数」も重要です。理想は「猫の頭数+1個」とされています。これにより、猫は常にきれいなトイレを選べるようになります。

トイレの場所を教えるには

新しく猫を迎えた際、猫にトイレの場所を認識させる最も確実な方法は、「環境を限定する」ことです。まず、猫のセーフティゾーンとなるケージの中にトイレを設置します。猫はキレイ好きなため、寝床とは別の場所(砂の上)で排泄する習性があり、自然とそこがトイレだと学習します。
ケージから出して部屋で過ごさせるようになってからも、猫が自分でトイレを見つけられない素振り(床のニオイを嗅ぎ続ける、ソワソワする)を見せることがあります。その際は、無理に抱き上げてトイレに連れて行くのは避けましょう。排泄の邪魔をされたと警戒し、逆効果になることがあります。代わりに、猫が自然とトイレの存在に気づけるよう、おもちゃなどでトイレの近くまで誘導し、存在を認識させる程度に留めます。もし自らトイレで排泄ができたら、静かに見守り、終わってリラックスしたタイミングで優しく褒めてあげると良いでしょう。

ニオイのついた猫砂を残しておく

猫は自分の排泄物のニオイで「ここが自分のトイレだ」と認識する習性があります。この習性を利用するのも、しつけの有効な手段です。
新しく子猫を迎える場合、可能であればブリーダーや元の飼い主さんが使っていた「猫のニオイがついた砂」を少量もらい、新しいトイレ砂に混ぜておくとスムーズです。それが難しい場合は、猫が新しいトイレで排泄したら、そのオシッコがついた砂を少しだけ、掃除の際に残しておきます。
ただし、猫はキレイ好きです。ウンチはすぐに片付け、砂全体が汚れている状態は絶対にNGです。あくまで「目印」として少量のニオイを残す程度にし、トイレ本体は常に清潔に保つことが、失敗させない最大のコツです。

猫の爪とぎのしつけ

猫の爪とぎのしつけ

猫にとって「爪とぎ」は、爪のケア、マーキング(ニオイ付け)、ストレス発散、体を伸ばすストレッチなど、多くの意味を持つ本能的な行動です。これを無理にやめさせることはできませんし、やめさせてはいけません。
爪とぎのしつけとは、「ソファや壁など、望ましくない場所でさせない」こと。そのためには、叱るのではなく、あらかじめ、適切な場所に爪とぎ環境を整える「環境づくり」がすべてです。

爪とぎを選ぶ

猫の爪とぎの好みは、素材(段ボール、麻縄、カーペット生地、木材など)や形状(縦置きポール、横置き、斜め置きなど)によって個体差が大きいです。もし愛猫がすでに特定の場所(例:ソファの肘掛け)で爪とぎをしているなら、その素材や角度(例:縦研ぎ)に似たものを選ぶと成功しやすいです。特に重要なのが「安定性」と「サイズ」。猫が立ち上がって思い切り体を伸ばしながら研げるよう、ポール型なら十分な高さがあり、体重をかけてもグラグラしない安定感のあるものを選びましょう。複数を試して、愛猫のお気に入りを見つけることが大切です。

爪とぎを設置する

爪とぎの環境づくりにおいて、爪とぎ本体と同じくらい重要なのが「設置場所」です。猫が爪を研ぎたくなるシーン(場所)に置く必要があります。
おすすめの場所は以下の3つです。おすすめの場所のいずれかひとつではなく、複数設置しておくのが理想です。

  1. 1.寝床のそば
    猫は寝起きに体を伸ばして爪を研ぐ習性があります。
  2. 2.すでに研いでいる場所のそば
    ソファや壁紙で研いでしまう場合、そのすぐ横に「こちらでどうぞ」と設置します。
  3. 3.通り道
    部屋の入り口や通り道など、マーキング行動としてでやすい場所に置くのも効果的です。

爪とぎの場所を教えてあげる

新しい爪とぎを設置しても、すぐに使ってくれるとは限りません。
設置の前に、爪とぎの上を歩かせたり、猫が自らスリスリ(ニオイ付け)してから設置するのがいいでしょう。猫の前足を持って、無理やり爪とぎにこすりつけるのは絶対にやめてください。猫はその爪とぎ自体を「嫌なもの」と認識してしまいます。
基本は、猫が自分で見つけてくれるのを待ちます。もし興味を示さない場合は、おもちゃ(猫じゃらし)で爪とぎの近くに誘導し、遊びながら爪が引っかかるように仕向けるのが効果的です。
またたびの粉末を少量ふりかけるのも一つの手です。もし望ましい場所で爪とぎをしたら、すかさず褒めて「良いこと」だと関連付けさせましょう。

猫の咬み癖へのしつけ

猫の咬み癖に、「大声で叱る」や「手を振り払う」のは逆効果です。猫は恐怖を感じたり、逆に「遊び」と誤認して興奮したりします。もし噛まれても、騒がず静かに動きを止め、そっと離れましょう。

猫の咬み癖へのしつけ

咬み癖をさせないポイント

  • 人の手足をおもちゃにして遊ばせない
  • 手足を狙っている時には、止まる・隠す・立ち去るなど、相手にしない
  • おもちゃを使って十分に遊んであげる

普段から手や足で直接遊ばず、猫じゃらしなどのおもちゃを使ってエネルギーを発散させてあげることが根本的な対策となります。

猫を社会に慣れさせるために

猫が幸せに暮らすためには、様々な刺激に慣らす「社会化」が重要です。最適な「社会化期(生後2~9週齢頃)」は、好奇心が恐怖を上回るチャンスの時期です。
室内飼育の猫は刺激が不足しがちなため、この時期に「怖くない」経験を積ませることが大切です。具体的には、インターホンや緊急地震速報などの「音」、来客や家族以外の「人」、キャリーケースでの「移動」や「匂い」などです。

猫を社会に慣れさせるために

また、この時期から歯ブラシを使って顔の周りなどをブラッシングする「歯ブラシブラッシング」を始めておくと、少しずつ体に触られることに慣らすことができ、ケアの練習へも移行しやすいです。
最も重要なのは、決して無理強いせず「怖い経験をさせない」こと。おやつや遊びを取り入れ、ポジティブな体験として学習させましょう。

食事の選び方・与え方

猫の健康と心の安定にとって、食事は非常に重要です。「環境マネジメント」の一環として、食事環境を整えましょう。
まず食事は、その子の年齢(子猫用、成猫用、シニア用)に合った「総合栄養食」を基本とします。ドライフードとウェットフードにはそれぞれ利点があるため、併用するのも良いでしょう。偏食を防ぐため、異なる風味や食感のフードを経験させておくことも推奨されます。食材が変わると酵素や腸内細菌に幅が生まれ、胃腸トラブルを起こしにくくなったり、粒の硬さや形が変わることで、口腔内の刺激に変化が生まれ、同じ歯ばかり使う癖がつきにくく、歯肉の炎症や歯石の偏りを防ぐことにもつながります。
食事場所は、トイレから離れた静かで落ち着ける場所に固定します。食器はヒゲが当たらないよう、浅く広めのものがおすすめです。水は食事場所とは別に、家の複数箇所に新鮮なものを常備し、いつでも飲めるようにしてください。また、猫は本来、狩りをして食事をする動物です。単にお皿にフードを出すだけでなく、知育トイ(穴を開けたペットボトルなど)にフードを入れ、転がして遊びながら食べさせる工夫も、猫の本能的なニーズを満たし、退屈による問題行動の予防に繋がります。さらに、チューブタイプやシリンジでの給餌や、ドライフード一粒を手から直接口へ給餌するなど、与え方にバリエーションを持っておくと、もしものときの投薬に備えることができ便利です。
「人の食べ物は与えない」というルールを決めたら、家族全員で一貫して守ることも、猫が混乱しないために大切です。

歯磨きを行うコツ

歯磨きを行うコツ

3歳以上の猫の約8割が歯周病を抱えていると言われ、オーラルケアは健康管理に不可欠です。猫の歯垢はわずか1週間ほどで歯石に変わるため、歯ブラシで歯垢を取り除く習慣が理想です。しかし、猫は口を触られるのを嫌うため、歯磨きは「絶対に無理強いしない」ことが鉄則です。押さえつけて恐怖体験をさせると、二度と触れさせてくれなくなります。コツは、リラックスしている時に「スモールステップ」で進めることです。

  1. 1.まず口元を触ることに慣れさせ、ご褒美をあげます。
  2. 2.次に唇をめくり、歯に触れ、ご褒美をあげます。
  3. 3.慣れたら、歯磨きペーストをつけた指や綿棒で歯の外側をこすり、ご褒美をあげます。
  4. 4.最終的に、猫用の歯ブラシ(ヘッドの小さいもの)を目指します。

「歯磨き=良いことがある」とポジティブに関連付け、毎日短時間でも良いので「嫌がる前にやめる」ことを繰り返し、習慣化させましょう。

猫の健康を確認する方法

猫の健康を確認する方法

猫は、本能的に体調不良を隠すのが非常に上手な動物です。野生時代、弱みを見せることが命取りだった名残です。そのため、飼い主が「様子がおかしい」と気づいた時には、病気がかなり進行しているケースも少なくありません。だからこそ、日々の健康管理(ヘルスチェック)が重要になります。これは「しつけ」の一環として、歯磨きや爪切りの練習と同様に、猫がリラックスしている時に身体に触れる習慣(ハンドリング)をつけておくことにも繋がります。健康チェックの基本は、「いつもと違うところがないか」を見つけることです。毎日、以下のポイントを何気なく確認する習慣をつけましょう。まずは「食欲」「飲水量」「おしっこ・うんち(回数、色、量)」「元気・活発さ」といった全体的な様子です。これらは健康のバロメーターです。加えて、リラックスしている時に「目ヤニはないか」「耳は汚れていないか」「鼻水は出ていないか」「口臭はひどくないか」「体を触って痛がる場所はないか」なども確認します。この日常的なチェックこそが、愛猫の命を守る早期発見の鍵となります。

毎日の健康チェックリスト

愛猫の健康状態を把握するために、毎日以下のポイントをチェックする習慣をつけましょう。「いつもと違う」と感じたら、様子を見ずに動物病院に相談することが大切です。

全体的な様子

  • 元気はあるか(ぐったりしていないか、隠れて出てこないか)
  • 食欲はいつも通りか
  • 水の飲み方は変わらないか(多すぎないか、少なすぎないか)
  • 呼吸が荒くないか

排泄物

  • おしっこの色、量、回数は正常か(頻繁にトイレに行く、キラキラしたもの(結晶)が混じっていないかなども注意)
  • うんちの状態は良いか(猫は肉食主体なので黒めの“かりんとう”のような状態が正常)
  • 下痢や便秘をしていないか
  • 血が混じっていないか

頭部

  • 目:目ヤニや涙が多くないか、充血していないか
  • 耳:耳垢がたまっていないか、変なニオイがしないか
  • 鼻:乾きすぎていないか、鼻水が出ていないか(鼻の穴を大きくヒクヒクさせる呼吸は、猫が呼吸しにくくなっているサイン)
  • 口:口臭がひどくないか、よだれが多くないか、歯茎が赤くないか

身体

  • 歩き方:足を引きずっていないか、ジャンプをためらわないか
  • 皮膚・被毛:毛並みは良いか、フケや脱毛がないか、体を触ってしこりや痛がる場所はないか

猫との遊び方

猫との遊びは、刺激不足で暇な時間を過ごす室内で暮らす猫の「狩猟本能」を満たし、ストレスを発散させるための重要な「環境づくり」です。
遊ぶ時は猫じゃらしなどのおもちゃを使い、手や足で直接遊ぶのは避けてください。「手は獲物」と学習し、咬み癖の原因になります。
おもちゃを物陰に隠したり、獲物(小動物や虫)のように動かしたりして本能を刺激し、最後は捕まえさせて満足感を与えることがポイント。
猫の集中力は続かないため、遊びは1回あたり10分程度で十分です。遊び終わったらおもちゃは片付け、誤飲を防ぎ、おもちゃへの興味を持続させましょう。

猫との遊び方

よくある質問

最後に、猫のしつけに関して、飼い主さんから多く寄せられる疑問にお答えします。

猫のしつけでやってはいけないことは?

猫のしつけで絶対にやってはいけないのは、「罰」を与えることです。
具体的には、「大声で怒鳴る」「叩く」「罰として首根っこを掴む」「(罰として)ケージに閉じ込める」「後から叱る」といった行為です。猫は「なぜ叱られているのか」を理解できず、飼い主に対して「怖い」という恐怖心しか学習しません。
これらの罰は、信頼関係を著しく損なうだけでなく、猫に強いストレスを与え、問題行動(隠れて粗相をする、攻撃性が増すなど)をさらに悪化させる原因となります。

叱り方と使うべき言葉は?

猫のしつけにおいて、「叱る」という概念や、特定の「ダメ」「イケナイ」などの「叱る言葉」を教え込む必要は基本的にありません。
もし咬むなどの望ましくない行動を「その瞬間」に中断させたい場合、声で合図を送るよりも、すぐに遊びを中断し、黙ってその場を離れることが最も効果的です。これは「負の罰」と呼ばれる対応です。
猫は「これをすると楽しい時間が終わる(飼い主がいなくなる)」と学習します。大声や低い声で「ダメ」と言うと、猫は興奮したり恐怖を感じたりして逆効果になるため、冷静に「無反応」を貫き、遊びを終了させることが重要です。

猫にシャーと返された時の対処法は?

猫が「シャー」と威嚇するのは、恐怖や不安、強い拒絶のサインです。「それ以上近づかないで!」という最終警告であり、猫が非常に追い詰められた状態です。もし「シャー」と返されたら、それは、無理に触ろうとした、しつこく構ったなど、なんらかの飼い主の行動が原因です。
対処法は、すぐに全ての行動をやめ、そっと距離を取ること。決して叱ったり、さらに近づいたりしてはいけません。猫が落ち着くまでそっとしておき、なぜ猫が嫌がったのか、その原因を考えて環境や接し方を改善することが根本的な解決策となります。

まとめ

猫のしつけは、猫の習性を深く理解し、「叱らずに環境を整えること(環境づくり)」が基本です。
トイレや爪とぎ、咬み癖といった問題行動の多くは、猫の本能的なニーズが満たされていないサインです。なぜその行動をするのかを考え、静かなトイレ、安定した爪とぎなど、猫が「快適だ」と感じる場所を用意し、望ましい行動へ誘導しましょう。
また、望ましい場所でできたら「その場で褒めること(正の強化)」も、行動の定着に繋がります。
時間はかかるかもしれませんが、猫の習性に寄り添い、信頼関係を築くことで、愛猫と飼い主の双方が幸せに暮らせる環境を作っていきましょう。

まとめ

公開日 : 2025.12.17