人間の赤ちゃんと
子猫が仲良く一緒に
暮らすために

子猫と赤ちゃんが仲良くしている姿はとても微笑ましいものです。しかし、どちらも子供なだけに安全への配慮が必要です。そんな子猫と赤ちゃんが仲良く一緒に暮らすために必要なことを紹介します。

猫と赤ちゃんが
一緒に暮らすメリット

言葉の通じない動物とふれあうことは、動物にも感情があることを知り、相手の感情を想像して行動することを学べます。また、猫はさわるだけでストレスホルモンを抑制する効果があるといわれています。育児に忙しいママにとっても癒しを与えてくれるのではないでしょうか。好奇心旺盛の子猫と人間の赤ちゃん、一緒に暮らせば仲の良い関係を育むことができるでしょう。

赤ちゃんのスペースと
棲み分けをする

ベビーベッドの上で過ごす新生児のうちは、猫と生活環境を別の部屋に分けるだけでよいのですが、ハイハイやつかまり立ちができるようになったら、赤ちゃんがいろいろなモノを手で掴んで、口に入れてしまうリスクも出てきます。猫のトイレはケージの中、食器はキャットタワーなど、赤ちゃんがさわることのできない場所に置きましょう。また、子猫用のおもちゃも遊んだあとそのまま放置するのではなく、赤ちゃんの手が届かないところに片付けること。

赤ちゃんと子猫の暮らしで気をつけること

いくら微笑ましいといっても、子猫との暮らしで一番気になるのは感染症のリスクです。猫から人に感染する代表的な感染症には、次のようなものがあります。これらは完全室内飼育を徹底し、ワクチン接種やノミ・ダニ駆除、飼育環境を清潔に保つなど、適正な飼い方をすれば予防できます。

猫から人に感染する感染症(人獣共通感染症)

  • トキソプラズマ感染症
    猫は宿主のネズミを捕食した猫の糞便との接触で感染。人は、猫のトイレ掃除のあと、手洗いが不十分などで口から感染する
  • 回虫・ノミ・ダニ
    回虫は母猫からの胎盤感染もある。ノミ・ダニは屋外から持ち帰ってくることが多い
  • 瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)
    ノミ・ダニ駆除の予防をしていれば瓜実条虫も防げる
  • 真菌(カビ)
    皮膚糸状菌が有名。感染した犬や猫との接触で人にも感染する
    ひどい場合は脱毛が見られ、特に幼・小児期のこどもに症状が現れる
  • 猫ひっかき病
    バルトネラ菌を持ったノミに吸血された猫に咬まれたり引っ掻かれたりすることで人に感染する
  • パスツレラ感染症
    犬や猫の常在菌で咬まれることで感染。猫同士では発症しないが、人の場合は発症する

また、せっかく一緒に仲良く暮らすのですから、赤ちゃんと子猫が安全にふれあいを深められるように、日頃から次のことを行って人と猫の生活空間を整えるよう心がけましょう。

人と猫の生活空間のために日頃から心がけたいこと

  • 猫のトイレは常に清潔にする
  • 猫の抜け毛対策としてブラッシングをする
  • 衣類に猫の毛・フケがついていたら取り除く
  • ホコリやハウスダスト対策をする(こまめな掃除や空気清浄機)
  • 掃除やケアをしたら手を洗う
内田 恵子 獣医師
監修
内田 恵子 獣医師

元ACプラザ苅谷動物病院統括院長。JAHA内科認定医、JAHAこいぬこねこの教育アドバイザー。小動物臨床に35年間従事した後、現在ペットの動物病院でのストレスを軽減し、問題行動を作らない技量を広めるため活動中。