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生後1ヶ月からの子猫の育て方

今回は、「もしも生後間もない子猫を拾ったら」に続き、
生後3週齢から12週齢頃の子猫の育て方についてご紹介します。

お話を伺った方岩田 麻美子

1989年から19年間メインクーンのブリーダーとして、また、この猫の魅力を伝えるために1996年からTICAのジャッジとして20年間活動。
今までに関わった猫の数は1万頭以上。現在は、ブリーディングやジャッジで蓄えた知識を、飼い主のいないねこの保護・新しい家族捜し、TNRなどのボランティア活動に役立てています。東京都動物愛護推進員、動物取り扱い責任者、ねこ観察家、ねこ写真家、ライター、NPO法人どうぶつの福祉を考える会理事長。
http://doukai.org/neko/

監修の先生内田 恵子 獣医師
(元ACプラザ苅谷動物病院統括院長)

小動物臨床に35年間従事した後、現在は動物病院運営のためのアドバイスを開始している。JAHA内科認定医、JAHAこいぬこねこの教育アドバイザーであり、動物病院で動物の入院中ストレスや診察中ストレスを軽減し、病院で問題行動を作らないような技量を広めるため活動中。

INDEX

生後3〜4週齢の赤ちゃん猫

生後3〜4週齢の赤ちゃん猫は、少し足腰がしっかりして、首をあげてヨチヨチ歩けるようになります。歯が生え始めます。セルフグルーミングをしたり、兄弟猫と噛み合ったり、キックして遊ぶようになります。素早く動くものや、頭の上にあるものはまだしっかり目で追うことができませんが、音が出るもの、ゆっくり動くものには興味を示し出します。少しずつ爪の出し入れができるようになります。顔の横に垂れたようにくっついていた肉厚の耳が、徐々に薄く大きくなって頭の高い位置にあがってきます。爪が伸びるスピードが速くなるので、4〜5日に1回は爪をチェックし、伸びていたら爪先だけ切ってください。

離乳食&トイレトレーニングをスタート

生後3週ごろになると、乳歯が生え始めます。口の中に指を入れて、歯茎にとがった歯が確認できれば、離乳食の準備をします。離乳食は、お湯で溶かすオートミールタイプの赤ちゃん猫用のものや、ペーストタイプの高栄養食などを使います。初日は一口からスタートし、便の様子をみながら徐々に食べさせる量を増やしていきます。ミルクは、離乳食と並行し、子猫がほしがるようであれば4〜6週齢ごろまで飲ませても構いません。赤ちゃん猫がミルクを飲むときは、舌を乳首に巻きつけて吸いますが、固形物を食べるときは、ミルクの時とはまったく違う舌の使い方をしなければなりません。子猫の中には、口の中の固形物を上手に咀嚼できず、飲み込めないことがあります。離乳食をスタートするときは、離乳食を少し指につけ、上顎にこすりつけて味を覚えさせます。

1日目は一舐め、二舐めにして、ウンチの様子を確認しながら徐々に食べても良い量を増やすようにしてください。1週間以上、離乳食を口に入れてもなかなか自力で食べない赤ちゃんもいます。赤ちゃんの中には、離乳食のにゅるにゅるした感覚が苦手な子もいるので、そのような場合は、子猫用のドライフードをお湯でふやかして柔らかくしたものや、ほかのフードを試してみましょう。中にはいきなり堅いドライをかじり出す子もいますが、便の様子をみて調整してください。赤ちゃん猫のお母さんが妊娠中もしっかりと栄養が摂れていればよいですが、飼い主がいない猫は妊娠中も栄養不良で、生まれた子猫が栄養障害を持っている可能性もあります。お母さん猫に育てられていない子猫には、特に生後3ヶ月ぐらいまではできる限り高栄養/高タンパクで作られた子猫用キャットフード(総合栄養食)を与えてください。

水飲みを置く

子猫にとって水を飲むのはなかなか難しいですが、飲みたくなったときにいつでも飲めるように、浅めのお皿に水を入れ、いつでも飲めるように用意してください。

トイレトレーニング

自分で食べるようになると、排泄も自力でできるようになってきます。小さめのトイレを寝床の近くに用意し、トイレトレーニングをスタートしましょう。食前・食後がトイレがしたくなるタイミングなので、食べさせる前と食べた後、トイレに連れて行き前肢で砂をカキカキさせ、「トイレはここだよ」と教えます。基本的に猫は決まった場所でトイレをしたがる動物なので、そんなに神経質にならなくても、いつの間にか自分でトイレを覚えてくれる子が多いです。ただ、自力で排泄できるようになるまでは、授乳中と同じようにティッシュペーパーなどでお尻を刺激して、排泄をうながしてください。

生後5〜7週齢の赤ちゃん猫

生後5〜7週齢になると、足腰がしっかりして少し早く動けるようになります。耳が大きくなって頭の上の方に位置していきます。上手に食べられるようになると、口元も広がって口吻が発達してきます。健康で物怖じしない性格の子猫は、好奇心旺盛にどんどん行動範囲を広げていきます。狩りをイメージしておもちゃや兄弟猫に向かっていったり、身軽な子はキャットタワーに登れたり、おもちゃにジャンプして飛びついたりできるようになります。ただ、まだ、あまり速いスピードには反応できませんし、キラキラ反射するようなおもちゃを子猫の目前で過激に振ると、めまいやてんかんに似たような症状を起こすことがあるので、注意してください。爪とぎも覚えますので、専用の爪とぎ場所を用意してください。子猫の遊びは、手か口を使うことで成り立ちます。兄弟猫がいれば、お互いに噛みついたり、引っ掻かれたりしながら、痛さの限界を覚えますが、一人っ子だと、加減を知らずに育ってしまいます。人の手や足に噛みついてきたら動きを止めて待ちましょう。子猫の目の前ですばやい手や足の動きがあると、遊びの対象になって余計に噛みついてしまうことがあるのでゆっくりとした動作で対応するのがポイントです。

離乳食からドライフードへ

成長が順調であれば、自力で離乳食が食べられるようになっています。ペースト状のものだけでなく、子猫用ドライフードをふやかしたものなども食べられるように用意してください。はじめはペーストと同じ食感になるまでふやかした状態からスタートするのが良いでしょう。食いつきや体重の増減、便の様子を観察しながらやわらかさを調整します。離乳食は一日3〜4回、時間を決めて与えます。食べ残したものは、必ず捨てて新しいものを用意しましょう。それ以外の時間はドライフードを少しだけ置いて興味を持つか様子を見てみるのも良いでしょう。ただし、しばらくたっても興味がわかないようなら片付けます。少し食べ始めるようなら離乳食に数粒ずつドライフードを混ぜてみましょう。

生後8〜12週齢の子猫

母猫の初乳を飲むことができなかった子猫は6週齢前後、初乳を飲むことができた子猫は生後8週齢前後に1回目のワクチンを、生後12週齢ごろに2回目のワクチンを接種します。ワクチンの時に、健康診断や検便を行い、必要であれば駆虫も行います。また、万が一迷子になったときの身元確認のために、マイクロチップを入れておくと安心できます。

赤ちゃん猫の目の色は、キトンブルーと呼ばれる灰青色ですが、このころから徐々に本来の目の色に変化し始めます。体つきがしっかりとし、胴や手足が伸びたと感じるかも知れません。健康な子猫は、とても活動的で理由なく部屋の中を走り回ったり、一人で飛び跳ねて遊んだりします。
食事は、子猫用のドライフードをふやかしたものか、この頃から堅いままでも食べられるようになります。1日3回、時間を決めて与えます。水はいつでも飲めるように室内に数カ所に置いてください。トイレも自力で使えますが、まだあまり膀胱が大きくないので、おしっこを我慢することができないことがあります。室内に数カ所トイレを用意して、子猫がおしっこをしたくなったときにすぐ使えるようにしておいてください。

母猫に育てられた子猫、または人の手で育てられた子猫は、1回目のワクチン、または2回目のワクチンが終了して1〜2週間後が譲渡に最適な時期になります。ただ、まだ子猫の社会化の時期ははじまったばかりなので、できれば兄弟や仲良し2頭で引き取り、一緒に成長させると、より素晴らしい家庭猫になってくれるでしょう。
猫は自分の世界、人(同居人)との世界、ほかの猫との世界といくつもの世界を持っています。猫は室内だけで十分飼育できますが、可能であれば、ほかの猫と一緒に生活できる「猫の世界」も体験させてあげたいものです。