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パピークラスに潜入!Vol.2
~ケアを嫌がらない子に育てるには~

子犬との新生活に役立つ情報を教えてくれる「子犬のためのしつけ教室」パピークラス。
子犬の苦手なことを増やさないようにするのにも、ちょっとしたコツがあるようです。
今回も、村田香織先生監修の「もみの木動物病院」で実施されているパピークラスの模様をお届けします。

お話を伺った方パピーケアスタッフ 大谷 将太(もみの木動物病院)

動物の専門学校(エコーペットビジネス総合学院)で犬のしつけについて学び、
現在は「もみの木動物病院」にてパピークラスや犬の幼稚園を担当。
公益社団法人日本動物病院協会認定パピーケアスタッフ。
http://www.mominoki-world.net/

監修村田 香織 獣医師(もみの木動物病院)

兵庫県神戸市にある「もみの木動物病院」の獣医師。犬や猫の攻撃行動、無駄吠え、不適切な排泄などといった問題行動の治療やしつけを専門に活躍中。飼い主とペットが楽しく幸せに暮らすための教育を、こころのワクチンとして執筆・講演活動を通じ多方面に取り組む。
著書に『こころのワクチン』『パピーケアスタッフBOOK』など。

ライター:山ノ上 ゆき子

INDEX

抱っこの仕方にもコツがある
って知っていますか?

もみの木動物病院のパピークラスでは、診察の練習から始まりトイレトレーニングを続けながら、その日毎に予定されたプログラムが行われていきます。なかでも飼い主さんとのスキンシップは、ワンちゃんにも大好きになってほしい項目です。そこで「正しい抱っこの仕方を知っていますか?」と先生。子犬がやってきたその日から何気なくやっている抱っこにも、正しい抱き方があるそうです。パピークラスでは、抱き方のNG例を動画で見ながら、正しい抱っこの仕方をレクチャーしてもらいます。前足を持って引き上げるなど、体に負担のかかる間違った抱き方をしていると、子犬は痛みを感じて抱っこ嫌いになってしまうこともあるそうです。また、特に小型犬の骨は、成犬であっても割り箸のように細いので、不安定な抱き方だと、不安や怖さで暴れてしまい、落下や飛び降りで骨折の原因になりかねないという話も。

小型犬の正しい抱っこの仕方は、片手を胴から胸にかけてしっかり手のひらを入れて抱き寄せ、犬の体が地面と平行になるようにして、もう片方の手でお尻を支えるのが安全だそうです。先生のお手本を見せてもらってから、飼い主さんも一斉にワンちゃんを抱き上げます。飼い主さんに上手に抱っこされて、安心なのかみんなとても落ち着いていました。

ハンドフィーディングで
体中を触るハンドリング練習
をしましょう

ハンドフィーディングとは手からの給餌のことで、このハンドフィーディングはワンちゃんに必要なケアを快く受けてもらうためのハンドリング練習にとても役立ちます。ハンドリング練習には、パピークラス初日に受け取ったプレゼントの「ハンドリングタッパー」を使います。ハンドリングタッパーには、ワンちゃんの注意を引くためのフードを入れておきます。まず先生がハンドリングタッパーからフードを手に取り、ハンドフィーディングのお手本を見せてくれました。

片方の手を筒状になるよう緩く握り、その中にフードを入れます。そして、ワンちゃんの舌が手の筒の中に入るようにして食べさせます。飼い主さんとワンちゃんは、まずはこの練習からスタート。ワンちゃんが上手にフードを食べるようになったら、いよいよ体中を触る練習です。ワンちゃんが手の中のフードに集中している間に、背中、お腹、足先、耳、お尻、尻尾などをやさしく触っていきます。上手にできたら、足拭きやブラッシングなどにもトライ。子犬は、人の手やタオル、ブラシなどもおもちゃと思ってじゃれたり、嫌だと思うと避けたり、格闘することになることもあるので、そうならないためにもフードに集中している間に行うのが良いそうです。まだまだ慣れない手つきの飼い主さんもいましたが、子犬の体中を触るハンドリング練習は宿題にもなっているので、1日の食事のうちの1食分をハンドリングタッパーに入れて、やさしく触る練習を毎日トライするうちに上手になるそうです。

将来に備えてマナーウェア®に
慣れさせましょう

最近は、犬と同伴できるお店や宿泊施設なども増えてきています。施設によっては、洋服やマナーベルトの着用が義務付けられている場合もあります。また病気やケガ、さらには高齢になった時の介護用などでオムツが必要になることも考えられます。急に着せてワンちゃんの大きなストレスにならないためにも、子犬の頃から洋服だけでなくマナーベルトやオムツなどに慣れさせておくことが大切なのだそうです。パピークラスのレッスンではマナーウェア®を使用します。同じワンちゃんで洋服を格闘しながらやっと着せる動画と、フードを食べさせながら数秒でスムーズに着せる動画を比較。方法が違うだけでこんなに簡単に成功するのかと飼い主さんたちも驚いていました。続いて今度は、ワンちゃんの性別やサイズに合わせてマナーウェア®がプレゼントされ、みんなで装着の練習です。

マナーウェア® 男の子用の装着練習

STEP 1
フードに集中している間に「まえ」と書いてある方を前足側に向けて準備。
STEP 2
白い吸収体の面を上にして、広げた状態でお腹の下側にもっていく。
STEP 3
ワンちゃんとマナーウェア®を抑えながら、体にフィットするようにしめる。
STEP 4
吸収体の面と白いテープをくっつけてしっかり留める。
STEP 5
ワンちゃんが気にしはじめる前に外す。

マナーウェア® 女の子用の装着練習

STEP 1
フードに集中している間にマナーウェアをひろげて、ギャザーを立てて準備。尾の太さに合わせて、予めしっぽ穴の切り込みを拡げるなど、調節しておきましょう。
※2段階で調整可能。
STEP 2
目印テープのついた部分を背中にもっていき、しっぽ用の穴の切り込みにしっぽを通す。
STEP 3
つけ直しテープをはずし、お腹から背中側にまわす。
STEP 4
目印ラインを目安にしてテープをつける。
STEP 5
ワンちゃんが気にしはじめる前に外す。

男の子はくるっと巻くだけの腹巻型。女の子は尻尾を通す穴が付いているオムツ型です。こちらもフードに集中させながら装着するハンドリング方法のおかげで、みんなスムーズにつけることができました。この練習でのポイントはワンちゃんが気にしないようにフードなどで気をそらすということでした。ワンちゃんたちがマナーウェア®を噛んだりすることなく外すことも成功。この着脱練習を家でもトライしながら、お散歩や外出時など楽しくつけていることが気にならないようなタイミングでつけるようにするのが、将来的に嫌がらなくなるコツなのだそうです。

大谷先生からのメッセージ

イザという時に困らないように、今できること

パピークラスでは、子犬の生活に今必要なことだけでなく、将来起きるかもしれないことに備えるプログラムも実施しています。マナーウェア®の着脱練習もそのひとつです。子犬の頃は、身に着けるものも受け入れやすい時期。最初はフードに集中させながら装着しますが、できるようになったら、スムーズに装着させてくれたご褒美として、「いい子だね」「お利口だね」と言葉で褒めた後に美味しいものを与えたり、遊んであげたり、嬉しいことや楽しいことをプラスしましょう。この方法で今の時期から慣れさせて将来に備えておくことは、将来的にワンちゃんのストレスの軽減につながります。特に初めてのことにトライする時は、必ず美味しいものとセットにするのがオススメです。子犬の時期は怒ってうなったり咬んだりする子はあまりいませんが、「うちの子は、おとなしく装着させてくれるから大丈夫」とご褒美をプラスしないでいると、成犬になってから怒るようになる子もいます。パピーの頃から常にご褒美を与える練習を続けていくと「やってみたら嬉しいことがあった」「おとなしくしていたらご褒美もらえた」とプラスのイメージがたまり、ワンちゃんがストレスなくいろいろなケアを受け入れてくれる将来につながると思います。