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パピークラスに潜入!Vol.3
~遊びはこころの栄養~

3回シリーズでお届けしている、村田香織先生監修の「もみの木動物病院」のパピークラスの潜入レポートも
今回がラスト。パピークラスは、子犬の時期に必要な経験をさせてくれますが、
なかでも子犬が多くのことを学びとる遊びは重要。今回は遊びに着目してレポートします。

お話を伺った方パピーケアスタッフ 大谷 将太(もみの木動物病院)

動物の専門学校(エコーペットビジネス総合学院)で犬のしつけについて学び、
現在は「もみの木動物病院」にてパピークラスや犬の幼稚園を担当。
公益社団法人日本動物病院協会認定パピーケアスタッフ。
http://www.mominoki-world.net/

監修村田 香織 獣医師(もみの木動物病院)

兵庫県神戸市にある「もみの木動物病院」の獣医師。犬や猫の攻撃行動、無駄吠え、不適切な排泄などといった問題行動の治療やしつけを専門に活躍中。飼い主とペットが楽しく幸せに暮らすための教育を、こころのワクチンとして執筆・講演活動を通じ多方面に取り組む。
著書に『こころのワクチン』『パピーケアスタッフBOOK』など。

ライター:山ノ上 ゆき子

INDEX

子犬は遊びが大好き!
飼い主さんと楽しく遊ぶには…

もみの木動物病院のパピークラスでは、パピークラス初日に受け取ったプレゼントの「スペシャルおもちゃ」を使って、ワンちゃんと飼い主さんが上手に遊ぶコツを教えてくれます。もみの木動物病院のスタッフがひとつひとつ手作りした、フェルト生地を三つ編みでロープ状にしたおもちゃなので、飼い主さんと一緒に引っ張りっこ遊びが楽しめそう。
まず遊びのポイントは、飼い主さんがワンちゃんに合図を出してから遊び始めることだそうです。これをルールとして続けることで、コミュニケーションの取りやすい子に成長していくそうです。それでは合図を出して飼い主さんとワンちゃんの遊びがスタート。すぐにロープを咥えるワンちゃんもいれば、反応が薄いワンちゃんも。

そこで「床に這わせて左右にくねくねと動かすのがワンちゃんの興味を引くコツです。子犬が咥えた後は強く振り回すと、歯や首を傷める可能性があるので注意しましょう。高い位置で持つとロープにぶら下がった状態になるため、ワンちゃんの頭の高さぐらいの位置で持つようにしましょう。」と先生からアドバイスがありました。活発なワンちゃんは、この動きに大はしゃぎです。「しばらく遊んだら、手の動きを止めて、ワンちゃんが離すのを待ちます。この時、徐々にロープを掴む位置をずらして、ワンちゃんが噛めるスペースをなくすようにすると離しやすくなります」と先生。さらに「ワンちゃんがおもちゃを離し落ち着いたら、それから再び合図を出して遊びをスタートするようにしましょう」これを繰り返しすることで興奮状態からすぐに落ち着く練習にもなるそうです。

遊びは子犬の甘咬みや
イタズラを減らすのにも有効

飼い主さんが抱える子犬の悩みの中でも多いのが「甘咬み」です。子犬は、興味のあるものを噛んで確かめようとするものなので、噛んでよい素材のいろいろなおもちゃを用意するのが良いそうです。一緒に遊べば遊ぶほど、ワンちゃんはますます飼い主さんのことが大好きになり、たくさん遊ぶことでエネルギーを発散するのでいたずらや甘咬みが減るという説明もあって、みなさん真剣(?!)に遊んでいました。また、子犬のうちから噛んでよいものといけないものを区別できるように育てたいのが飼い主さんの願い。特に、ワンちゃんに教えたいのが、甘咬みといえども鋭利な乳歯で咬まれると痛いので人間の手や足に甘咬みはしないことです。もみの木動物病院で教えているのは、飼い主さんに対して甘咬みをしたら「アッ」と言って立ち去る方法です。引っ張りっこ遊びの中でも、間違えて手を咬んでしまったら同じ方法で即座に遊びを中断します。これを繰り返し行うことで、子犬は咬んだら遊びがなくなるということを学習し、徐々に甘咬みをしなくなるそうです。もちろん、遊び以外の時間でも咬むことがあったら「アッ」と声を出して目の前から立ち去るようにとアドバイスがありました。

子犬同士の
遊びのセッションで
会話上手な犬に!

子犬同士をフリーにして遊ばせる「遊びのセッション」があるのもパピークラスの特徴です。リードを離されてフリーになった途端、遊びをしかけるワンちゃんもいれば、控えめに近づいて匂いを嗅ぐワンちゃんや、教室の中をくんくん探索するワンちゃんなど、いろんなタイプがいることに気づかされます。そんな子犬たちの様子に合わせて、先生がワンちゃんの行動と気持ちを実況中継のように伝えてくれます。「前足を低くのばし、お尻を持ち上げているのは、遊ぼうよとお友達を誘っている動作です。」「追いかけたり、追いかけられたりと役割交代があるのが遊びの特徴です。さっき追いかけられてお腹を見せたとおもったら、今度は追いかけていますね。」などと説明してくれるので、遊んでいるワンちゃんの気持ちや遊んでいないワンちゃんの心境がよくわかります。最初はなかなか他の犬と遊べなかったワンちゃんも、パピークラスの回を重ねるにつれて遊べるようになることも多いそうです。犬同士のコミュニケーションを覚え、他の犬に対する社会化につながる「遊びのセッション」。子犬のためになるのはもちろんですが、遊んでいるワンちゃんたちを見て、微笑んでいる飼い主さんたちが何より楽しそうでした。

大谷先生からのメッセージ

社会化期の子犬同士の遊びはパピークラスや子犬の幼稚園の利用をおすすめします

お散歩中に他の犬に対して吠えたり、攻撃的になってしまうという問題は、成犬になってから多くみられる相談です。これは他の犬との接し方がわからないなどの犬に対する社会化不足が原因だったりします。パピークラスでは子犬を飼い主さんから離し、自由に遊ばせる「遊びのセッション」を設けています。犬同士のふれあいによって、犬のコミュニケーションを学ぶだけでなく、エネルギーを発散したり、楽しい記憶を積み重ねることも、子犬にとって「こころの栄養」になっていきます。ただし、ここで怖い経験をすると、他の犬が苦手になったり、トラブルにつながることもあるので「大丈夫な組み合わせ」で遊ばせるように注意しています。性格や体格差なども考慮して、安全に遊べるようにワンちゃんたちをコントロールするのも、私たちスタッフの役目だと思っています。
子犬の社会化に犬同士の遊びはとても大切ですが、怖い思いをすると逆効果になることもあるので、いきなりの知らない成犬も入り混じったノーリードの状態のドッグランに連れていくことはおすすめしません。おだやかな成犬や楽しく遊べる同じ年頃の子犬を見つけましょう。もしも周りにちょうど良いワンちゃんを飼っている方がいない場合は、安全面を管理するスタッフのいるパピークラスや子犬の幼稚園などの利用をおすすめします。