遊びとしつけと社会化 遊びとしつけと社会化

遊びは子いぬの心の栄養になるのでたくさん遊んであげましょう。
しかし、遊びや生活にもルールがあり、それを教えることもしつけです。
また、慣れないことや苦手なことを減らす社会化もやっていきましょう。

指示に従うしつけ 指示に従うしつけ

飼い主さんのやってほしいことを子いぬが理解してくれたら、毎日の子いぬとの生活がスムーズになり、

とても楽しくなります。そのためには、子いぬに飼い主さんの言葉や合図を教えましょう。

段階を踏んだトレーニングでいろんな動作が教えられ、

さらにお互いのコミュニケーションにもなるのでぜひトライしましょう。

飼い主さんの手について動くことを教える「タッチ」

飼い主さんのグーをした手に鼻先をつける行動を教えます。これが「タッチ」の合図でできると、犬を飼い主さんの手だけで誘導できるようになり、行動がコントロールしやすくなります。

教え方
  • ①子いぬの前でおやつを見せ、手の中に握ります。おやつを欲しくて子いぬが鼻先をグーの手につけたら、手を開いて中のおやつを与えます。
  • ②それを何度か繰り返した後、おやつを握った手を動かして、子いぬが手を追いかけて鼻先をつけてきたら、褒めて手を開いて中のおやつを与えます。
  • ③何度か繰り返してできるようになったら、「タッチ」の言葉の合図を出してから、同じことを繰り返します。
  • ④その後、おやつが入っていない手をグーにします。「タッチ」の合図で、鼻先をグーの手につけたら、褒めてポケットなどに入れてあったおやつを与えましょう。
  • ⑤繰り返し練習した後、「タッチ」の合図で鼻先をつけたら、言葉で褒めるだけの時やご褒美としておやつをあげる時など、ランダムにします。ただし、トレーニングの最後は、ご褒美のおやつを与えて、指示に従うことをいいことだという印象をつけて終わりましょう。

座ることを教える「オスワリ」

座る姿勢をさせる「オスワリ」は、食事や遊びの前をはじめ、ドアの開閉の時やトイレを片づける時など、待たせる時に便利です。また、飛びつきの防止や、信号待ちなど、お散歩時にも活躍します。

教え方
  • ①立っている状態の子いぬの鼻先におやつを持った手を近づけて、そのまま上に引き上げます。するとおやつに誘導されて、子いぬが上を向きます。
  • ②おやつを持った手をゆっくりと子いぬの頭上側に動かし、子いぬのお尻が床に着いた瞬間、褒め言葉をかけて手に持っていたおやつを与えます。
  • ③何度か繰り返しできるようになったら、「オスワリ」の言葉の合図を出した後、同じことを行います。
  • ④何度か繰り返し、スムーズにできるようになったら、今度はおやつを持たない手を同じように動かして、やってくれたら褒め言葉をかけてポケットなどに入れておいたおやつをご褒美として与えます。
  • ⑤その後、手の動きを徐々に簡素化していき、手の合図にします。上手にできたら褒めてご褒美を与えることを繰り返しながら、「オスワリ」の合図で子いぬが座るように練習しましょう。

床や地面に伏せることを教える「フセ」

お腹を床につける体勢の伏せは、オスワリよりも長い時間待機させたい時などに便利です。例えば、飼い主さんが食事をしている時、動物病院の待合室など、いろんなシーンで活用できます。

教え方
  • ①オスワリの体勢の子いぬの鼻先に、おやつを持った手を近づけて、そのまま床に降ろします。
  • ②子いぬの鼻先がおやつに誘導されて、床まで下がったところで、おやつを持った手を床に這わせながら、子いぬの鼻先から前方へ少し離します。そして子いぬが鼻を近づけると、フセ体勢ができるので、褒めて手に持っているおやつを与えます。
  • ③オスワリと同じ要領で繰り返した後、おやつを持たない手で行い、「フセ」の言葉の合図の後、徐々に簡素化した手の動きも合図にして練習します。どうしてもお尻が上がってしまったり、カラダを床につけない場合は、飼い主さんが床で体育座りをして、その足の下をくぐらせて、フセの体勢になった時に褒めてご褒美をあげるようにして教えましょう。

その状態で待つことを教える「マッテ」

いぬに動いてほしくない時に、その状態のまま待つことを教えます。「オスワリ」や「フセ」の後にかけて、その状態で待機させることもできるので生活のシーンでいろいろと役立ちます。

教え方
  • ①子いぬに「オスワリ」をさせます。
  • ②「マッテ」の言葉と子いぬの顔の前に手のひらを出す合図をして、少しでもじっとしていたら褒めて、ご褒美のおやつを与えます。
  • ③何度か繰り返しながら、「マッテ」の言葉と手の合図を出した後、待たせる時間を少しずつ増やしていき、待てたら褒めてご褒美のおやつを与えます。
  • ④ある程度できるようになったら、食事を与える前に「オスワリ」をさせ「マッテ」をかけて、そのご褒美として食事の許可を出すようにしましょう。ただし、食事の前に待たせる時間が長いと苛立たせるので、待たせるのは数秒程度にしておきましょう。
  • ⑤子いぬが「マッテ」の意味がわかってきたと思ったら、いろんなシーンで「マッテ」をかけて、できたら褒めてご褒美を与えていきましょう。

そばに来ることを教える「オイデ」

子いぬを呼んでそばに来るように教える「オイデ」は、生活のあらゆるシーンで役立ちます。遊びの誘いや食事を与える時などの用事がある時に呼ぶのはもちろん、いたずらをしそうな時に呼んで事前に防ぐこともできます。さらにドッグランなどに行って自由に遊ばせる時も安心です。ただし、呼ばれてそばに行ったら「イヤなことをされた」「楽しいことがなくなった」「いいことがなかった」という経験を重ねると、呼んでも来なくなってしまうので気をつけましょう。

教え方
  • ①おいしいものを持っていることを子いぬにアピールします。子いぬが近づいてきたら、「オイデ」と呼び、2~3歩後ろに下がり、あなたのそばに来たら、褒め言葉をかけて子いぬを撫でながらおやつを与えます。
  • ②何度か繰り返して「オイデ」の言葉で来てくれるようになったら、少しずつ距離をのばして行きましょう。おいしいものは手に持たず、ポケットや呼ぶ場所の近くの棚などに置いておき、「オイデ」で呼ばれて子いぬが来たら、褒めて撫でながらそのおやつを手にして与えるようにします。近くまでやってきても撫でられない位置で止まっている時は、おやつは与えません。
  • ③何度か繰り返して「オイデ」の合図で喜んでそばにくるようになったら、好きなおもちゃで遊んであげるなど、おやつ以外のこともご褒美にします。これを繰り返し「オイデ」で呼ばれて飼い主さんのそばに行くと、いつでも「うれしいこと」「楽しいこと」があると学習させましょう。

お散歩のトレーニング

お散歩は「体の健康」だけでなく「心の健康」にも関わる全てのいぬに必要なことです。外を歩くことでいろんな人や動物、乗り物などにも出会い、他のいぬと遊ばせる機会も生まれます。また、広場などでいっしょに走ったり、ロングリードを使ってボール遊びなどの運動も楽しめます。ただし、周りに迷惑をかけないことが飼い主さんのマナーです。排泄場所を含め、自分のいぬの行動をきちんとコントロールしましょう。そこでも役立つのが指示に従うしつけです。

しかし、家の中で完璧にできるようになっていても、お散歩に出てみるとできないことがよくあります。いぬは環境が変わると、何をすれば良いのかわからなくなる場合かあるので、家の中で教えた「タッチ」「オスワリ」「フセ」「マッテ」「オイデ」のトレーニングを外でもやりましょう。

※子いぬにとって外の世界は知らないものがいっぱいで、その好奇心から引っ張ることがよくあります。興味を持って確かめることも必要なので、危険な場所でなければ様子を見守りましょう。また、慣れない場所に不安を感じて、動かなくなってしまうタイプの子いぬもいます。臆病な性格の子いぬにとって外の世界は怖いものがいろいろとあるので、十分時間をかけて慣れさせましょう。まずは、静かで安全な公園などへ抱いて行き、そこで好きなおもちゃで遊ぶことなどをして、外出が楽しくなる経験を重ねましょう。